親知らずの抜歯と再生療法

横になった親知らず(智歯)が生えるのをやめたわけではなく、前方にある第二大臼歯を支えている骨と根を包んでいる歯根膜という組織を溶かしてしまいます。さらに根自体を溶かしてしまうことすらあります。このような親知らずは第二大臼歯を障害する前に抜歯するのが推奨されます。(口腔外科医のなかでは16から17才のうちに骨の中で大きくなる前に抜歯することが常識ではあります。)しかし自覚症状がないため、20歳を過ぎてすでに第二大臼歯を障害するようになって痛みがでるようになってから抜歯にふみきることが多いのです。そのような場合もちろん放置すればどんどん第二大臼歯が悪くなるので早期に抜歯が必要なのですが、抜歯したからといってそれだけでは深い歯周ポケットを形成し、根が露出することによって知覚過敏を呈して、神経を除去することが多いのです。歯根膜という歯の根を覆う組織がないと骨が再生されないので根の後ろがむき出しになったり、深い歯周ポケットを形成して時々腫れる原因となるのです。
そこで、いったん障害された第二大臼歯の修理のため再生療法が必要となります。歯根膜の再生をはかるために露出した根面にエムドゲインという特殊な薬剤を貼付し、骨の再生の場として抜歯のときに捨て去る骨を利用して移植、足らない部分は人口の骨を利用して歯周ポケットの形成、歯根の露出を最小限におさえるようにしています。こうして親知らずのために生じる知覚過敏や歯周病の悪化を防ごうというものです。
| 抜歯のみの場合 | ・深い歯周病ポケット → 腫れたり膿んだり ・歯根露出は多い → 虫歯や知覚過敏 ・歯が揺れる → 骨が減ったまま |
|---|---|
| 再生療法後 | ・浅い歯周病ポケット → 腫れない ・歯根露出は少ない → しみない ・骨も回復 → ゆれない |

従来の歯周外科(切除療法)と再生療法の違い

従来法は切除療法といい、歯周ポケットどととがった骨も取り去ることで、確実に細菌の住処を奪う手術です。しかし、結果として歯根が露出し、あとから、歯がしみたり、見栄えが悪かったり、歯を支える骨は増えないので、動揺が改善しにくいなど利点の少ない方法です。
確実に細菌がいなくなるので失敗は少ないのですが。
再生療法は、本来その歯の根を覆っていた歯根膜と骨を再生させることができます。再生には個人差があり、手術前に成功率を高めるために、禁煙や、厳密なプラークコントロール、徹底的な口腔内清掃が求められます。よって手術にかかれるまでに準備に数ヶ月かかることもまれではありません。再生療法にはGTR法、エムドゲイン法があります。重傷度に応じて使い分けられますが、GTR法の場合1本あたり24万から4本で60万ほど費用が必要。
エムドゲイン法では4本あたり10万程度(ただし骨移植併用が必要なので人工骨代2~4万円)費用が必要です。
従来法は確実に歯周病は治るのですが、基本的に取り去るのみの手術なので骨の平坦化など必要な処置の結果見苦しいこともあります。あとになって再生療法を行いたくても不可能となります。
一方、再生療法は成功するかは個人差があるもののそれでもうまくいかないときには切除療法を数年後に行うことも可能ですからまずは再生療法を目指して歯周治療に取り組まれたらよいと思われます。
| 利点 | 欠点 | |
|---|---|---|
| 従来法 |
・確実に細菌が少なくなる ・費用が安い |
・骨や歯肉が減る 歯が動揺する ・根がむき出しとなり、しみる ・見栄えが悪い ・清掃しにくい ・再生療法はもうできない |
| 再生療法 | ・骨や歯肉が増える ・根の露出が少ない ・見栄えがよい ・清掃しやすい ・結果が悪くても切除療法に切り替えが可能 |
・個人差がある ・費用がかかる |







